<文様図鑑>  画像は基本的にじざいやの在庫です。そのうち足りなくなったら画像募集するかも・・・?

1)矢羽根文様
  (やばねもんよう)
矢羽根は矢の上部につける、鷲、鷹、鳶などの羽根のことで、「矢羽」(やば)ともいいます。
形や羽の斑文の面白さから文様化され、並列した矢羽根が美しく意匠化されたものが、桃山時代の胴服にもみられます。
さまざまなバリエーションが見られますが最も知られているのがこの画像にもあるようなパターンでしょう。
江戸時代、大名家の奥女中の制服として扱われていた文様です。
近代では、その形と線とを生かし、様々な染職の文様に使われています。

画像はお召しです。
 

 

2)葵文様(あおいもんよう) 二葉葵の葉を文様化したもので、形や組み合わせにより、立ち葵、葵巴(あおいともえ)、葵唐草などのバリエーションがあり、着物や帯に多く用いられています。
紋章にも多く見られ、二葉葵は京都賀茂神社の神紋とされ、また三つ葉葵は徳川家の紋章としてあまりにも
有名です。
江戸時代には葵紋の使用は厳禁されていました。

芙蓉によく似た花の咲くアオイ科の花葵(立葵)ではなくウマノスズクサ科の小さな花が土に埋もれるように咲く植物です。
 

画像は羽織(部分)です

3)葡萄唐草文様(ぶどうからくさもんよう 地中海沿岸地域では、古くから葡萄の栽培が行われました。武道は、豊かな実りを象徴する神聖は樹と見なされてきました。ギリシャからシルクロードを経て中国に伝わり、日本へは飛鳥・奈良時代に伝わった葡萄唐草文様は 奈良の正倉院に納められた錦や綾の中に 見事なものをいくつか見出すことができます。
葡萄唐草文の再びの流行は桃山時代。ただ、奈良時代のものがかっちりとデザイン化されていたのに対し、桃山時代のそれはかなり絵画的で、葉も蔓も伸びやかに描かれています。それから栗鼠がつきもののように書き添えられているのも大きな特徴です。
奈良時代の初めに日本に伝わり、長い空白の時期を経て再びの流行を見た葡萄唐草文。その生命力の豊かさと長さは、豊穣の象徴としての文様の意味と重なります。

画像は紋織り着尺です

4)竹文様(たけもんよう) 竹は、松、梅とともに冬の寒さに耐える歳寒三友の一つとして、中国で古くから愛され、日本にも伝わりました。
竹文様は、竹の幹、節、葉などを図案化したものを指しますが、松、梅とともに吉祥文の一つとして広く親しまれています。
高潔な雰囲気を持ち、しなやかで強く、折れることのない竹は、その風情の美しさから詩歌に詠まれ、また染織の文様としては辻が花染や能衣装、小袖などに様々に図案化されてきました。
単独に用いられる場合もありますが、雪が積もった雪持ち竹、竹と鶴など、他の文様と取り合わせても使われます。

画像は手描き小紋です。

5)桜文様(さくらもんよう) 桜は古くから。どの時代にも愛されてきました。和歌や絵画にも取り上げられ、現在、日本の国花とされるように、「花」と言えば桜を指すことが多いようです。
文様に表されるようになったのは平安時代ごろからです。
ちなみに万葉集においては、梅を詠んだ歌が百数十を数え、約四十首の桜を圧倒
していまいたが、百人一首では梅一首、桜六首ち逆転しており、平安時代を境に日本人の美意識の変化を垣間見ることができます。
代表的な春の花ですが 最近では酢亜実的に描かれた桜柄以外は 季節を問わずに身につけるようになってきています。

画像は刺繍とアップリケの八寸帯

6)梅文様(うめもんよう) 梅を図案化した文様の総称で、梅の花弁の文様を梅花文、梅の花が枝についている文様を枝梅文、梅の木全体を梅樹文と、特に区別する場合もあります。
梅は「百花のさきがけ」というように、厳寒の中で香り高く咲き始めるので、古来より東洋で尊ばれてきました。
8世紀の初めに中国より渡来し、吉祥文様として各時代に絵画や工芸品の名品が作られています。また、家紋にも、多くの種類が見られます。
きものや帯でも、新春一番に着る柄として親しまれ、品格を重んじる礼装から、春の訪れを感じさせるしゃれ着や染帯まで、幅広く愛用されています。

写真はパッチワークの八寸帯

7)鳳凰文様(ほうおうもんよう) 古くは中国で尊ばれた想像上の瑞鳥で、麒麟(きりん)、龍、亀と共に四瑞とされます。
鳥の王と位置付けられ、その雄を鳳、雌を凰と称し、盛天子出生の喜ばしい兆しとして出現すると伝えられています。
理想的に装飾化されており、鶏の頭に燕の顎、蛇の首、亀の背中、羽に五色の紋があり、五色絢爛にして梧桐に宿り、竹の実を食す、とされています。
日本には奈良時代に伝わり、正倉院の錦やその後の有職織物、建築や工芸品にも見ることが出来ます。姿形の華麗さゆえか四瑞の中でも最も愛されている文様であり、現代でも格調高い吉祥文様として着物や帯に多様されます。

写真は刺繍袋帯

8)雀文様(すずめもよう) 雀は古くから絵画や文様の題材とされ、鎌倉時代の絵巻にも様々に意匠化されています。二羽の雀が羽を広げた形を図案化したものは「雀形(すずめがた)」、丸々と肥太った雀の子、または寒気を防ぐために全身の羽毛を膨らませてふっくらと見える雀は「ふくら雀」と言います。
また、他の文様と組み合わせて用いられることも多く、「稲穂に雀」は秋の文様、また「竹に雀」の意匠は仙台藩伊達家の紋章として有名です。

写真は広瀬絣

9)亀文様(かめもんよう) 「亀は万年の齢を経、鶴も千代をや重ぬらん」(謡曲・鶴亀)といわれているように、亀は鶴と並んで長寿であるとされていることから、古来、動物の吉祥文様の代表的なものです。霊獣の1つとして描かれた「霊亀」や、年老いて緑苔が生じた姿を描く「蓑亀」、また甲羅を幾何学的にアレンジした「亀甲」など、そのバリエーションも多くあります。
留袖の裾模様などに、よく用いられています。

写真は亀刺繍袋帯

10)鉄線花紋(てっせんかもん) 鉄線はキンポウゲ科の落葉性つる植物。中国原産で寛文年間(1661〜73)に渡来し観賞用として栽培されました。初夏に白や紫の花を咲かせ、その優美な姿が好まれて、文様や紋章に取り入れられてきました。

桃山時代の能装束や小袖には、鉄線を唐草のように文様化したものが残されています。友禅や紅型にも多く見られ、現在も広く愛好されています。

写真は 藍ロウケツ染小紋

11)宝尽くし文様(たからづくしもんよう) 元は宝物を集めた中国の文様ですが、日本風にアレンジされて現代に至ります。
構成要素は、思いのままになる「如意宝珠」、身体が隠れて災難から身を守る「隠れ蓑」「隠れ笠」、打てば宝が出る「打ちでの小槌」、貴重品を守る土蔵の「鍵」、宝物を入れる「巾着」、金を量る「分胴」、仏宝の「丁子」「花輪違い」、知恵を表す「宝剣」、怨敵退散の「法螺」などです。

これらは時代によって多少の変化があり、全てが揃わなくても宝尽くしと呼ばれます。福徳を呼ぶ代表的な吉祥紋として、晴れ着などに多用されます。

写真は 白地宝尽くし小紋

 

12)鱗紋(うろこもん) 三角形といくつも、その頂点を合うように組み合わせて配列した文様で、魚の鱗に似ているためにこの名があります。

小紋や帯の意匠、または着尺の地紋に用いられ、一方、能や歌舞伎においては、鬼女や蛇の化身の衣装に使われます。

女性の厄除けの文様としても有名で、身に付ける風習も残されています。

写真は 鱗模様長襦袢地

13)鼓紋(つづみもん)

 

鼓は、円筒状で中空の胴に皮を張って鳴らす和楽打楽器の総称です。
 小鼓の優美な形を文様化した鼓紋は、
 その貴族趣味で優美な雰囲気が好ましく、 着物や帯によく使われます。
 鼓の両端に張った革の丸い面や 調べ緒と呼ばれる紐、 また胴部分などを巧みに意匠化して表現されます。

写真は すくい綴れ名古屋帯

14)麻の葉紋(あさのはもん) 六角形状に六個の菱形を結び付けた文様で主としてその連続文様を指します。
  「麻の葉繋ぎ」とも言われます。
  形が大麻の葉に似ているので、この名があります。
  麻は生長の早い草で、種を蒔いて3ヶ月もすると2メートルを越します。
その成長の早さと丈夫さにちなみ、
 子供の産着として広く用いられてきました。
  また、成人の着物や襦袢のほか、
  絣織物にも多く使われています。
15)水文(みずもん) 水が流れているさまや池に溜まって

いるさまを図案化した文様で、
弥生時代の銅鐸にも見られるように
たいへん歴史のある文様です。
 「流水文」は曲がりくねって水が流れる様子を意匠化した文様で
固有の形を持たない水であるがゆえに  優美にも勇壮にも表現できます
  また、渦を巻いた水文は「観世水」という固有の名が付けられています。
水文は車や筏、千鳥などと取り合わせたり  風景を構成したりと多種多様に使われます。
水文自体は年間を通じて使え
組み合わせる文様によって季節感が添えられます。
 

16)毬文様(まりもんよう) 着物の文様としてのまりには
手でついて遊ぶ<手毬>と
足で蹴る<蹴鞠>の二つがあります。
これは、御殿毬を文様化したものです。
 もともとの手毬は ぜんまいの綿やおがくずを芯に 綿糸を固く巻きつけたものですが、
 江戸後期に流行した、五彩の絹糸で巻いた手毬を 特に御殿毬と呼んでいます。
色彩の華やかさと愛らしい形が好まれ、
特に子供のきものや染め帯に多く使われる意匠です。
 

写真は 綴れ八寸帯

17)雲文様(うんもんよう) 雲がたなびいている様を線や色で表した文様です。
千変万化する雲の形に吉凶の意味を託すことは 古くから行われており、
 正倉院所蔵の各種の宝物の中にも
さまざまな雲の形を見ることが出来ます。  瑞祥を表す雲を図案化したものは<瑞雲>と名付けられ 吉祥紋として使われます。
 また、雲の輪郭を生かし、中に様々な文様を 詰め込んだものは<雲取り>と呼ばれます。  
様々な着物や帯に使われる雲文様は
 また白生地の地紋としても好まれています。

写真は 雲模様大島紬
18)扇面文様(せんめんもんよう) 別名<扇文>、<末広文>とも呼ばれます。
扇は末が広がることから、
末広で発展することを意味し、
縁起の良いものとされました。
扇面の中に草花など様々な文様を入れることが多く、 
扇に貼る地紙のみで用いられた時は  <地紙文>と呼ばれます。
王朝風の雅な雰囲気から、典雅な晴れ着に向く文様といえます。

写真は 綴れ帯

19)車文様(くるまもんよう) もともとは、御所車の車輪を文様化したものですが御所車全体の文様や水車の文様を含むこともあります。
またバリエーションとして、車輪が水の中に隠れて、半分見えなくなった状態を文様化した<片輪車>もあります。

車文単独で表現される他、
染めの着物の場合は 草花を添えたり風景の中に配したりして 用いられることも多く、雅な雰囲気が好まれています。

写真は 大島紬

20)松文様(まつもんよう) 松は日本の風景画になくてはならない樹木です。
その葉は常に緑を保つことから
長寿の象徴として古くから人々に親しまれてきました。
また、雪や霜にあたっても葉の色が変わらないことから
「春まで待つ」という意味もあり、
それが長寿、延命につながるとも考えられています。
現代でも格調の高い文様の一つとして
様々な着物や帯に用いられています。 
季節を選らばず一年中着用できるのも便利です。
 

写真は松刺繍袋帯

21)桐文様(きりもんよう) 桐は、中国では鳳凰の住む木として
尊ばれ、日本でも菊と共に皇室の紋と
されてきました。
通常三枚の葉に三房の花をつけて表現され、「桐竹」や「桐竹鳳凰」といった組み合わせもあります。

格調高い文様で、家紋としてもおなじみですが、代表的な吉祥文様として
祝儀の着物や袋帯に好んで用いられます。

22)花篭文様(はなかごもんよう) いろいろな花を、竹で編んだ籠に盛った形を文様化したものです。
 中国の故事から瑞祥の意味を持ちますが、日本的な優雅な雰囲気が好まれ、
江戸時代から様々に使われてきました。
 四季の花々を盛ったものは季節を問わずに着用できますが
 秋草のものは特に画趣に富み、
 夏の着物や帯の意匠に好まれます。
23)瓢箪紋(ひょうたんもん) 瓢箪はウリ科の一年草で夕顔の変種です。
 果実は長く中央がくびれ、成熟したものは果皮が硬くなり
昔から酒の容器や装飾品にされました。
そのために洒脱な文様とされ、
主に男性の羽裏や中年向きの着物や帯に使われます。
別名を「ふくべ」「ひさご」とも言い、
瓢箪の群生している様子を図案化した千成瓢箪は、秀吉の馬印として、特に有名です。
24)花兎文(はなうさぎもん) 花樹の下で耳を立て、後ろを振り向いている兎を 横列に織り出した文様で「花兎金襴」とも呼ばれ、
名物裂(室町時代から桃山時代にかけて、中国・インド・ 中近東の国々から渡来した織物の総称)文様の一つです。
名物裂は主に茶道の世界に珍重され、
審美眼のある大茶人たちを惹きつけただけに、 洗練された意匠と色彩で、
現代の帯や着物に多く写されています。
 ちなみに花兎文は桃山時代に角倉了以が愛好し「角倉金襴」とも呼ばれています。
25)蜀江文(しょっこうもん) 室町時代に多く渡来した、
中国明代を中心に織られた錦(蜀江錦)に織り出された文様を言います。
八角形の四角に正方形を重ね、 
中に花文や龍文など いろいろな文様を配したものです。
現代では 忠実な蜀江写しもありますが
中の文様を現代風にアレンジしたものもあり 帯によく使われます。
26)雪輪文(ゆきわもん) 雪文様の一つで、雪の結晶に見られる美しい六角形の輪郭を 円形に描いた線文様です。
雪輪の中に別の文様を入れたり、
雪輪を文様の区切りに用いたりもします。
平安時代から見られた文様で
能装束にも優れた作品が残されています。
その優美な形から、振袖、留袖、小紋、帯などに幅広く使われ、 万人に愛されている文様です。
27)沢潟文(おもだかもん) 沢潟は 水田や池、沼などに自生する多年草でw 葉脈が高くなっているので「面高」とも言われます。

 独特の葉の形と可憐な花、
 水の中からすっきりと立ち上がった姿が愛され、 平安時代から文様化されました。家紋にも見られます。

写真の白い葉が沢潟です。

28)本紋(ほんもん) 一個の文様を規則的に繰り返して配置した文様で 縦横に割ることのできるものを割付文様と総称し、 直線で構成されたものと 曲線で構成されたものの2種類があります。
 本紋は、直線で構成された割付文様の一つである 「紗綾型(さやがた)」に蘭と菊をあしらった合わせ紋で
 白生地の地紋として多く使われます。
 文様名の由来は、「本格的」とか「本物」「本式」の意味、 または徳川家の定め紋を本紋と呼んだことから、とも言われています。
29)蘭花文(らんかもん)  蘭は松、竹、梅と構成して「四友(しゆう
竹、梅、菊とで「四君子(しくんし)」
 梅、菊、蓮とで「四愛(しあい)」と呼ばれ、  瑞花として文様に用いられてきました。
 現代でも 写実的に描かれたものの他、 蘭の花丸、蘭枝丸としても見られます。
 近年はカトレアなども意匠化され、
 そのモダンであでやかな雰囲気が好まれています。
30)蔓帯文(かずらおびもん) 葛帯とは、能衣装の一つで、面を付ける前に蔓を押さえるように鉢巻上に頭に巻き、後で結ぶ細い紐状の布のことです。
この蔓帯には、刺繍や金箔といった繊細は文様が施されており、それを図案化したものが 蔓帯文です。
蔓帯の中に古典文様や四季の草花を染めた染の着物や袋帯は、格式のあるアイテムとして現代でも多用されます。
31)松葉文(まつばもん) 松文と同じく、文様としては多用されているのがこの松葉文です。松特有の針状の葉は、他の木の葉と異なり、単純なものでは二股に分かれた直線が1点で結び合う形で表現されます。
松葉を一面に散らした「松葉散らし」や「松葉丸文」、「松葉小紋」もあり、その多彩な表現から、松を愛した古来の日本人の心情が伺えます。
 
32)華文(かもん) 華文(かもん)
花を抽象化して丸い形に文様化したもので特定の花を指すのではなく、
何となく花のような形をした華麗な文様全般をいいます。
そのルーツは古く、正倉院御物の中に様々な華文を見ることができます。
奈良の都で最上流の人々の高貴な好みにかない、工芸の中で生き続けて来た華文はその威厳に満ちた華やかさから、
礼装用の袋帯や留袖、訪問着の文様として多く使われます。
33)青海波紋(せいかいはもん) 大海原の広さと神秘さを抽象的に表した、波文の一種です。
同心円を交互に重ね、 同心円の一部が扇のように重なり合って波のうねりを表します。
中国では地図で海を表すのに、この文様を用いました。
舞楽「青海波」の衣装にも多用され、
能装束や小袖などの水を表現する地紋に使われてきました。
おめでたい席に使用してもよい文様です。
 
34)菖蒲文(しょうぶもん) 菖蒲は古くは「あやめ」と呼ばれ、菖蒲の字をあててから音が「尚武」に通じることから、特に武家では尊ばれました。
長寿のまじない、魔除けとしても用いられ、今も5月の節句にその習慣が残っています。菖蒲だけを単独で使えば初夏の趣きが強調されますが、御所解き文様のように、風景の中に流水と共に使う場合もあります。
35)千鳥紋(ちどりもん) 川原や海辺に見られる千鳥は、
 古くから歌にも詠まれ、愛されてきました。
単純化された愛らしいものから、写実的に描かれたもの、
波と組み合わせて表現された「波に千鳥」など様々に意匠化されています。
この「波に千鳥」は涼感を誘うため夏の着物や浴衣などに多用されますが、
千鳥自体は通年使われる柄で、季語としては冬です。
36)乱菊紋(らんぎくもん) 長い花弁が入り乱れて咲いている様を表現した、菊文様のうちの一つです。
菊は、中国では不老長寿の効があるとされ、 日本には奈良時代に渡来したと考えられています。
 その高雅で気品のあるたたずまいから日本でも愛好された菊は、
文様化したものが数多くありますが、
乱菊文様は菊の花の華やかさをより一層目立たせるために、
大ぶりで伸びやかに表されることが多いようです。

 
37)秋草紋(あきくさもん) 桔梗、萩、女郎花、撫子、薄、葛、藤袴の秋の七草や竜胆の他、
秋の野原に咲く花を文様化したものです。
これらのうち、数種類を用いても秋草文と呼びます。
決して華やかなものではありませんが、
静かな趣きがあり、流水を描き加えたり、薄に露の玉を加えるなど、
自然を写し取った文様には日本ならではの情緒が感じられます。
また、季節をひと足早く感じさせてくれることから、 夏の着物や帯にも多用されます。
38)牡丹紋(ぼたんもん) 奈良時代に中国から伝えられ、鎌倉時代には摂関家専用の文様として使われました。 百花の王、瑞花として、また不老長寿の象徴として中国では特に好まれ
大牡丹、蝶牡丹など様々に文様化されたものは、 現代でも着物や帯に多く見られます。
室町時代に渡来した名物裂の金襴や錦にも見られ、 牡丹唐草文は特に有名です。
39)花車紋(はなぐるまもん) 花車文には、花で飾った御所車や、四季の草花を盛り込んだ籠を積んだ車など、様々な表現があります。さらに図案化が進むと、御所車の車輪だけに花をあしらったものもあります。
いずれも華麗で雅やかな古典柄として、振袖や留袖、袋帯などに使われます。
40)蜻蛉紋(とんぼもん) 蜻蛉は古く「あきづ」と呼ばれ、古くから身近な昆虫でした。
武士の間では勝虫、勝軍虫とも言い、
縁起がよいので武具の文様として尊ばれました。
また能装束の中にも、優れた意匠のものが見られます。
多くはススキなどの他の草木と共に用いられ、 季節の先取りとして夏の着物や帯に使われます。
また単独では絣柄としてもおなじみです。
41)狩猟紋(しゅりょうもん) 獅子や鹿、羊、猪などを馬上の騎士が弓で射る場面を表した文様のこと。
西アジアを起源とする文様で、
特に王権を象徴する獅子狩文(ししかりもん)はアジア大陸の各地に見られ、
日本では奈良・法隆寺に残る錦が有名です。
 本の古典文様の中では最古に位置付けられ、 その格調の高さと高貴さから帯に織り出されることの多い文様です。
42)貝合わせ紋(かいあわせもん) 別名、「蛤文(はまぐりもん)」ともいいます。
蛤は、対の貝しか合わないため、 平安時代から貝合わせの遊びに使われました。 貝合わせに用いる、内側を美しく装飾した貝を合わせ貝、 それを納める容器を貝桶といい、 おめでたい文様として、単独で、または組み合わせて、 振袖や留袖、訪問着や袋帯に多用されています。
 
43)花喰鳥紋(はなくいとりもん) 花や松の小枝、あるいは「綬(じゅ)」という組紐の帯などをくわえた 鳥の文様のことです。
鳥は鶴や鳳凰、おしどりなどさまざまで、
天平時代に中国から伝わり、その優美な姿が衣服や工芸品に広く使われました。
正倉院裂にも多く見られ、今も吉祥文様の一つとして袋帯などに好まれます。
 
44)薔薇文(ばらもん) 薔薇は、西洋では愛と美の象徴として、様々な装飾に用いられてきました。
日本では源氏物語にも「薔薇」の文字が見られ、 館の庭を彩る花の一つとして愛でられていた様子がわかります。
しかし、薔薇が注目を集めたのはやはり明治時代からで、
西洋の文明や嗜好が本格的に日本に流入してからです。
特に、大正モダニズムの流れを汲み、銘仙には優れた意匠の薔薇が多く見られました。 現代では、そのあでやかさとモダンさに人気があり、
様々に図案化された薔薇が染めの着物に多く見られます。
45)花の丸紋(はなのまるもん) 草花を円形におさめた文様で、丸文の一種です。梅、椿、水仙、杜若、桔梗、菊などあらゆる花を文様化することができます。
古典的で優雅な雰囲気を持ち、能装束、小袖から現代の着物や帯の柄にまで、幅広く使われています。
刺繍で表現し洒落紋にしたものも、注目を浴びています。
46)荒磯紋(あらいそもん) <あらいそ>とも呼ばれます。
 波間に踊る鯉を表現したものが代表的ですが、
 波の打ち寄せる荒磯に岩や千鳥をあしらった模様も、荒磯文の一種です。
 そのルーツは中国から渡来した名物裂ですが、
 岩に松を配した<荒磯松文>は日本的な雰囲気が感じられます。
 水を連想させ涼感を演出できることから、
 浴衣や夏の着物の意匠としても好まれます。
 
47)花菱紋(はなひしもん)
 弁の花を菱形に配置して描いた文様のことで、 平安時代から、有職文様の一つとして一部の人たちだけが 使うことを許されてきました。
4個の花で一つの菱形を形成したもの、
また9個のブロックから成る花菱模様もあり、
幾何学文様ならではの様々なバリエーションがあります。
現代では上品な文様として、着物や帯に多用されます。
48)貝紋(かいもん) 貝を図案化したもので単独で用いたり、
いろいろな種類の貝を散りばめて「貝尽くし」にしたり、
また海浜風景の一部として用いたりします。
貝としてはみる貝、ほら貝、帆立貝、蛤などが比較的よく用いられ、
蛤と蝶を取り合わせた<蛤蝶文>という文様もあります。
貝文は小紋や染め帯に見られ、洒落た雰囲気を醸し出します。
49)鴛鴦紋(おしどりもん) <えんおう文>ともいいます。
 鴛鴦は姿と羽根が美しく、また雌雄が仲睦まじい習性から、
 二羽対で描かれることも多く、古くから絵画や詩歌の題材ともなりました。
 礼・盛装用の着物や帯に使われ、その華やかでおめでたい図柄は、
 花嫁のお色直し用衣装や留袖にも多用されます。
50)椿紋(つばきもん) 椿は春の到来を告げる聖なる木として好まれ、文様化されてきました。
染織の世界のみならず、工芸品にも優れた意匠のものが数多く残されています。
 現代でも着物や帯に広く好まれ、特に染め帯には取り上げられることも多く、
季節感を演出できます。
花を、軍配のように左右対称にデフォルメし単純化した椿は特に「遠州椿」と呼ばれ、
しゃれ帯や絣の文様によく見られます。
 
51)水玉文(みずたまもん) 小さな円を水玉に見立てて全体に散らした文様。
水玉を不規則に並べたり、また規則的に整列させたり、 一部分にあしらったものなどバリエーションは様々です。
円の大きさも一定だったり、大小取り混ぜることにより、 リズムが生まれます。
洋服でお馴染みの柄であり、涼感を演出できることから、 主に夏の柄として浴衣や手拭に用いられます。
また絣の柄としても見かけます。
幾何学柄ですので装えるイメージもまたいろいろで、 可愛らしくもモダンにもなり、現在でも人気があります。
52)組紐紋(くみひももん) 絹糸を何本も集めた束を二組以上使って、交差させて編み上げた紐を組紐といい、文箱など工芸品の飾りや帯締めなどに用いられます。
複数の色を取り混ぜたり編み方を複雑に変化ざせて、美しく繊細なものが作られ、紐自体がひとつの工芸品といってもよいでしょう。
きものの文様としては、扇や鏡、鼓などと共に用いられることが多く、平安貴族趣味的な優雅さを醸し出します。
53)蝶紋(ちょうもん) 虫類の文様は少ないきものの中でも、
 蝶は形が優しく色も美しく、舞い飛ぶ姿の優美さから、 奈良時代より様々に文様化されてきました。
中でも「揚羽蝶(あげはちょう)」は有職文様の一つで、 平家ゆかりの家系の家紋としても御馴染みです。
 また、能装束や江戸時代の小袖にも優れた意匠が見られます。
 現在でも、浴衣から小紋、振袖、帯の柄としても広く好まれています。
 単独のみならず、他のものとの組み合わせで用いられることも多く、
 燕の形をした鳥と組み合わせた「蝶鳥文」や、
 薄や菊、露芝と組み合わせて初秋の趣を、
 また牡丹との組み合わせで陽春・晩春を表現することもあります。
 
54)萩文(はぎもん)
萩は山野に自生し、紅紫色や白色の小さな花をたくさんつけます。秋の七草の一つであり、秋草文様には欠かせません。
そのひそやかな風情は古来より日本人に愛され、「万葉集」にも萩を詠んだ歌は多く残されています。
近年は、他の季節の草花と合わせて、春秋模様とすることもあります。
 
55)百合紋(ゆりもん)  百合は既に「古事記」にも記されていますが、
 きものの文様としては意外に少ないようです。
 種類が豊富で花期も幅広い百合ですが、
 山百合や鬼百合は夏の文様として親しまれています。
 また現代では、カサブランカ等、西洋渡来の品種も多いことから、
 夏に限らず他の季節にも用いられる傾向が強く
 小紋や訪問着の意匠として、その華やかさが好まれています。
56)色紙紋(しきしもん) 色紙とは、和歌や俳句、絵を描く方形の厚紙を指します。
色紙をバランスよく配して、
その中に四季の草花や風景などを描き入れたものが色紙文です。
 直線で構成される文様ですので、その硬くなりがちな雰囲気を、 色紙と色紙の間に折り枝や蔦、波といった曲線を巧みに配置し、
 和らげている例も多くみられます。
 短冊を配した<短冊文>、
 和紙を綴じた本を文様化した<冊子(草紙)文>(そうしもん)も同類の文様です。
57)七宝紋(しっぽうもん) 同じ大きさの円を円周の四分の一ずつ重ねていく文様で、二つ以上の輪を重ねる文様である<輪繋ぎ(わつなぎ)>の一種です。
中には唐花などの花を配することもあります。
七宝とは仏教で、金、銀、瑠璃(るり)、珊瑚、瑪瑙(めのう)、真珠等の七つの宝を指します。
平安時代以来、公家の服装や調度品、輿車などの装飾に用いられ、
独自の優美な様式を持つ「吉祥文様」の一つとして馴染みが深く、きものや帯に多用され、改まった趣を醸し出します。
58)南天紋(なんてんもん) 漢方薬の世界では薬草としても用いられる南天は、 「難を転ずる」に通じることから縁起の良い木、 幸福を招く木として親しまれて来ました。
寒中にたくさん赤い実をつけることが喜ばれ、
お正月の飾りとして松竹梅と共に用いられます。
写実的に表現されたものは季節感溢れる染め帯やきもののモチーフに多用され、
 また意匠化されたものは、吉祥文様の一つとして用いられます。
59)波紋(なみもん) 様々に変化する波の形を文様化したものを、波文と総称します。
荒れて大きく逆立つ波の文様には
「立波文」や「波涛(はとう)文」「荒波文」などと様々な名がついています。
それぞれ単独で地紋としたり、
千鳥や魚、兎と組み合わせたり、また風景文様として使ったりします。
表現の仕方で重厚にも繊細にも変化しますので、
礼装からゆかたまで幅広く用いられます。
60)雪花紋(せっかもん) 降る雪を花に例えて「雪花」と呼びます。雪の様々な結晶の形を、花のようにデザイン化して表現したものが雪花文です。
本来ならばとらえどころのないような気象現象としての雪ですが、四季の変化に恵まれた日本ならではの、卓抜した文様表現です。
周囲の文様を生かし、柄ゆきに変化と格調を加える役割を演じることもでき、重宝な文様といえるでしょう。
61)木瓜文(もっこうもん)
四つか五つの花弁状のもので囲んだ中に、唐花などを表した文様。
もともとは、瓜を輪切りにした形を意匠化したものとされ、平安時代に貴族の住居に用いられた御簾(みす)の帽額(もこう)部分を飾る文様として使われたことから、<木瓜>の文字があてられ「木瓜文」と称されるようになりました。
貴族の衣服や調度品にも用いられ、格調の高い優美な文様の一つです。
 
62)蒔糊散らし(まきのりちらし)
蒔糊は、友禅染の技法の一つです。
防染糊を竹の皮に塗って薄く伸ばし、乾燥させます。それを細かく砕いて十分に湿らせた布地に蒔き、乾いてから地を染めます。
雪が降ったようにも見え、他の文様と組み合わせて冬の情景を表現したり、また全体にあしらって地模様のようにも用います。
63)花熨斗文(はなのしもん)
草花を束ねて紙で包み、水引きで飾ったものを花熨斗といいます。
室町時代には、七夕に宮中へ贈るしきたりもありました。
雅な雰囲気の文様ですので、
四季の草花を描いて華麗に文様化したものは振袖などに見受けられます。
水引きや紐で束ねた花束の図柄は「花束文」といわれ、
花熨斗文とは区別されています。 
64)宝船文(たからぶねもん)
宝船とは、初めは米俵や宝物を積んだ帆かけ船をさしましたが、後に七福神も描かれ
るようになりました。
正月二日の夜、枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るといい、もし悪い夢を見た時は翌
朝、この絵を川に流す習慣は、室町時代に宮中や公家階級から始まったものです。
縁起のよい文様として、現代でも晴れ着や帯に使われます。
 
65)水仙花文(すいせんかもん)  水仙の花と葉を種々にかたどった文様。
 文様としての歴史は比較的新しく、近世になってから見られるようになりました。
 可憐な花を付け正月頃に満開となる水仙は、冬の花として喜ばれ、
 また「仙」の字が吉祥を意味することから、新春の瑞兆花とされてきました。
 まっすぐな形を生かしたり、丸く花の丸状にアレンジして、 友禅や紅型染めによく見られます。
66)鍵文(かぎもん)

 先端が鉤形に曲がった鉄棒に木の柄が付いたもので、
 土蔵の落とし錠などを開けるのに使います。
 土蔵の中の宝物を守るこから、縁起のよいものとして文様化され、
 「宝尽くし文」の中の一つとなりました。
 家紋にも見られます。


 
 
67)籠目文(かごめもん)

 竹で編んだ籠の、編目をそのまま文様化したものです。
 幾何学的な構成の直線連続文様ですが、
 籠目の一つを取り上げて紋章にしたものも見られます。
 友禅染めの一部分に使って空間を引き締める役割を担ったり、
 江戸小紋の文様の一つとしても御馴染みです。
 また、帯の地紋にも見られます。
68)吹き寄せ文(ふきよせもん)
いろいろな木の葉が風に吹き寄せられた様子を描いた文様で、松葉、柿の葉、松毬(まつかさ)、銀杏などをバランスよく散らせます。
本来は秋から初冬にかけての柄ですが、近年は梅や桜などを添えることも多くなりました。
その風情のあるネーミングにより、古くから日本人には親しまれた文様で、菓子や料
理の名前にも見かけられます。
69)唐花文(からはなもん)
その名のとおり中国から渡来した花形の文様で、日本では奈良時代から見られ、その
後徐々に和様化しました。花弁は4枚のものが基本ですが、時代の変遷とともに様々
な形に変化していき、画像のように、現在ではかなりモダンにデフォルメされたもの
も見受けられます。
唐花といっても特定の花を指すのではなく、例えば牡丹のような唐風の花を唐花と呼
びます。多弁花をかたどる<宝相華(ほうそうげ)文>とも通じるものがあり、時と
して同義に用いられます。
70)鹿の子絞り(かのこしぼり)

染織品に文様を表すために、織機や筆、針や糸などの道具を用いますが、
その際にその技法独特の図様が表れることがあります。
鹿の子絞りはその中の一つであり、文様としてすっかり定着しています。
小鹿の背の斑点に似ていることからこの名があり、 別名<疋田(ひった)絞り>、<疋田鹿の子>とも言います。
絞り染めだけでなく、染めや織りの技法としても
<染め疋田><鹿の子文>として表現されます。
着物、羽織、帯はいうにおよばず、
長襦袢や帯揚げなどにも幅広く用いられています。
71)源氏香文(げんじこうもん)
香の香りを当てる「香合わせ」という、平安時代の宮廷遊戯から発祥した文様。
香合わせの際に使う符号に花模様をあしらい、源氏物語五十二帖に合わせて(源氏物
語の本来は五十四帖ですが、最初と最後の巻は除かれているため)それぞれの符号に
名がついています。
幾何学的な形に優雅な物語性が加味され、古くから愛好されました。巻名やその内容
に関係する草花や器物を添えたり、図の中に小柄を詰めて表現したりすることも多く、晴れ着や帯から浴衣まで、幅広く用いられます。
 
72) 桜楓文(おうふうもん)

春を代表する花である<桜>に、秋の<楓>を組み合わせて一つの文様にしたもので す。
古くから絵画の題材とされるほど、日本人の嗜好に合った文様として、広く染織品に使われています。
季節を問わないという点でも、着物や帯の文様としては便利です
73)牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)
中国では百花の王とされる牡丹に唐草を組み合わせた文様。
正倉院の宝相華(ほうそうげ)文様の流れを受け継ぎ、 名物裂や陶磁器など中国からの舶来品の影響下に、日本に定着しました。
重厚で品格のある雰囲気から晴れ着用に用いられることが多く、 現代でも着物や帯に 愛用されています。
74)角通し(かくとおし)  ごくごく細かい正方形が整然と一面に連なるように染め出した、小紋柄のことです。
 もともとは江戸小紋の柄でしたが、数ある中でも「鮫」「行儀」とともに、いわゆる 小紋三役の一つとして別格の格の高さを持ちます。
 紋付きにもでき、幅広い場で装うことができる柄ゆきです。
75)更紗文様(さらさもんよう)

更紗とは、室町時代から江戸時代初期にかけて
インドやジャワ、ペルシアなどの異国から渡来した染めの木綿布のことです。
人物、鳥獣、樹木、草花など異国の文物を彩り豊かに表現した
これらのエキゾチックな文様の総称です。
日本では木綿に限らず絹にも染められ、また現代では織り帯にも見られます。
技法的にも本来の更紗同様、手描きと型染めの両方の手法が用いられます。
格調高い本格的な更紗裂写しから、
更紗風草花模様など洒脱にアレンジしたものまで、
更紗模様の意味する範囲は広く、その趣味的な雰囲気が好まれています
 
76)小桜文(こざくらもん)

小さな桜の花、または花びらを一面に散らした文様です。
江戸小紋の代表的な柄の一つで、
桜の花びら型の道具を使って切り抜いた型紙で染め上げます。
かつては多く、鎧に用いられましたが、
現代では着物や長襦袢、あるいは半襟などに
年齢を問わず好まれています。
また、鹿皮に漆で柄を置く<印伝>にも使われ、袋物等にされます。
77)束ね熨斗文(たばねのしもん)
熨斗アワビの形を表した文様。
熨斗は、アワビの肉を薄く削いで引き伸ばし、
紙の間にはさんで祝儀の進物や引き出物に添えたのが始まりです。
多くは数本を束ねた「束ね熨斗」として表現されますが、 その他にも、先が勢いよく跳ね上った形状が威勢のよい江戸っ子に好まれた 「暴れ熨斗」などのバリエーションがあります。

吉祥文様として、礼装の着物などに使われます。
78))毘沙門亀甲文(びしゃもんきっこうもん)
亀甲を三つ、テトラ型に連ねて連続させた文様の総称。毘沙門天が着用している鎖鎧
の鎖の表現が似ていることに由来します。
白生地の地紋や帯の柄によく使います。
毘沙門天とは、北方世界の守護神で、日本では七福神の一つとして信仰されていま
す。
79)亀甲文(きっこうもん)
正六角形の幾何学模様で、亀の甲羅に似ていることからこの名があります。
長寿吉兆を祝うめでたい柄として、平安時代に有職文様として定着して以来、各時代
を通して着物の柄のみならず各種工芸品でも大変に好まれてきました。
枠内に花菱を入れて「亀甲花菱」、上下左右に連ねた「亀甲つなぎ」(画像)、中に
小さな亀甲を入れた「子持ち亀甲」など様々なバリエーションも見られ、礼装用の留
袖や袋帯から、亀甲絣と呼ばれる絣織物まで、広く用いられています。
 
80)橘文(たちばなもん)
 

橘はみかんの一種で、雛の節句の飾りにもあり、古来より親しまれてきました。
京都御所紫辰殿(ししんでん)の右近の橘が有名であることもあり、
格調の高い文様として、留袖や振袖、訪問着、
付け下げなどの礼装用着物に多く用いられます。
橘と言えばその実を指し、
花を合わせたものは<花橘>と言って区別することもあります。
81)藤紋(ふじもん) マメ科のつる性落葉木である藤は、その美しさが古くから愛され、
平安時代後期、藤原氏全盛の時に文様として完成されました。
有職文様にも多く見られます。
藤立涌(ふじたてわく)、藤の丸、巴(ともえ)藤など
多くのバリエーションがあり、藤を使った家紋も50種類以上あります。
単独で用いられ、写実的に表現された場合は、
晩春、初夏の季節感が強調されます
82)蚊絣(かがすり)

蚊が群がり飛んでいるような、極めて細かい絣文様の総称。
一般的には、経緯の絣糸で、十字形の文様を織り出したものです。
絣の基本形の一つですが、織るには高度な技術が要求されます。
地味な雰囲気ですが、男物や年配の婦人物の文様として好まれま
83)子持ち縞(こもちじま)
 

太い線に沿って細い線を平行に配した縦縞文様のことで、
太い縞の片側だけに細い縞を添えたものを
<片子持ち>、画像のように、両側に添えた
<両子持ち>がある。
バリエーションとして、二本の太い縞の間に細い縞を一本入れたものは、
婚礼の時の器物や衣服などに、祝いの印として用いられたりします。
84)紫陽花文(あじさいもん)

紫陽花は万葉集にも詠われているように、
かなり古くから日本人の生活に溶け込んでおり、
園芸化されたのは、鎌倉時代です。
青紫色の大きな花が好まれて、文様としては江戸時代から用いられるようになり、
陶磁器や蒔絵などの工芸品に秀逸な作品が多く見られます。
現代では、着物や染め帯、浴衣に多く意匠化され、初夏の季節感を表現します。
 
85)四季草花文(しきそうかもん)
四季折々の草花や草木を取り合わせて、
文様化したものです。
写実的に、またはデザイン化して、
能装束や小袖、帯などに用いられてきました。
上品で優しい趣きがあり、
季節を問わない柄ですので、
現代でもあらゆる種類の着物や帯に多用されます。
 
86)刷毛目文(はけめもん)

刷毛に染料をつけ、布の上をさっと掃いたような模様です。
濃淡のあるかすれた感じが自然で独特の面白みがあり、着物や帯に使われます。
もともとは陶器の装飾技法の一つで、朝鮮李朝の作品に見受けられます。
刷毛目は普通直線で描かれ、縦横両方向ありますが、
まれにゆるい波形のものもあります。
 
87)道長取り(みちながどり)
継ぎ色紙(染めた和紙を手でちぎって貼り合わせた料紙のこと)のように、斜めにゆるやかに流れ、変化に富む曲線で囲んだ模様のことです。
藤原道長がこの料紙を好んだために付けられた名前で、平安貴族の好みに合った、その上品で典雅な雰囲気を生かし、留袖、訪問着、袋帯など礼装用アイテムに多く使われる模様です。
88)紗綾形(さやがた)

卍の字を崩して組み合わせ、連続模様としたものです。
桃山時代に明から伝わった織物である「紗綾」の地紋に使われていたために、 この名が付きました。
端正で品格のある雰囲気から特に武家に好まれ、
江戸時代には織物にも染物にも多用されました。
今も白生地の地紋をはじめとして、
帯や着物の文様の一部分として使われます。
89)波兎文(なみうさぎもん)

逆巻く波、白い泡を噛む波頭、その上を高々と飛び越えていく耳の長い兎。
いかにも流麗で躍動感にあふれた文様です。
波と兎という不思議な取り合わせは、
謡曲「竹生島(ちくぶしま)」の一節、月海上に浮かんでは兎も波を走るか 面白の浦の気色や・・・、に想を得たもので、月世界の兎が湖面に映り込んで、あたかも水上を走るかのように見える光景を描き出しています。
このダイナミックなデザインは江戸初期に大いに流行し、 さまざまな工芸品に同種の図柄を見ることができます。
ただ可愛らしいだけでない、 外性に富んだ兎の文様として現代にも愛好されています
90)龍文(りゅうもん)
龍は、中国古代の神仙思想に由来する想像上の動物で、鳳凰と共に瑞獣の代表とされてきました。古代中国の天子の衣服の文様の他、服飾品にも数々取り入れられています。
水中や地中に住み、時に空中を飛行し、雲や雨、時には稲妻を放つという言い伝えから、雲や雨と一緒に描かれることがあります。
正倉院裂の中にも龍を意匠化したものが見られ、室町から江戸時代にかけての金襴や緞子、能装束や歌舞伎衣装にも多く見られます。
 
91)鯉紋(こいもん) 鯉は黄河の急流にある龍門と呼ばれる滝をも登り、 やがて龍になるとも言われる中国の故事にちなみ、 出世魚として古来より珍重されました。
名物裂の荒磯緞子にも見られ、江戸時代の浴衣の柄に多く用いられました。
波間の鯉、鯉の滝登り、鯉尽くしなど多数のバリエーションがあり、 絵絣にも織られます。
 
92)菊菱文(きくびしもん)

 
菱文は、四本の平行線で囲まれた四辺形を基本とする文様で、有職文様の一種です。
直線で構成され織りに適した菱形は、その角度で形の動きや表情が変わり、様々なバ
リエーションが生まれました。それぞれに分かり易い雅な名前がついています。
菊菱は、菊の花を菱形に構成した、シンプルながらも洗練された文様です。
着物や帯に多用される他、家紋にも見られます
93)団扇文(うちわもん) 扇子を丸くして柄をつけて使いやすくしたのが団扇です。
女竹の節のちょうどよいものを選び、節の上から骨の数に裂いて、表と裏の紙を別々
に貼り付け、上部の骨をはさみで切って仕上げます。
染め帯や小紋などに好まれる団扇柄は、盛夏をイメージさせるモチーフですので、八
月いっぱいまでの着用が基本とされます
94)市松文様(いちまつもんよう)
歌舞伎役者の初代佐野川 市松(1722-62)が舞台でこの文様の袴をはき、爆発的に流行しました。
特別にどうということのない四角形の連続ですが、一つずつの目のコントラストが強いので、インパクトに富みます。このコントラストを利用して目の配色を変えることにより、無限に変化する文様が生まれます。
日本に限らず世界中で古くから用いられてきた割付文様の一種で、市松の中にさらに
細かな文様を入れ込んだ複雑な表現も可能です。
 
95)鈴文(すずもん)
 

 古来より、神事や祭祀に用いられてきた鈴は、
 後に楽器としても使われるようになりました。
 形の美しさから着物の文様に取り入れられ、
 鼓や烏帽子と組み合わせることもあります。
 子供の衣装や小紋の柄として使われます。
96)格天井文(ごうてんじょうもん)
格天井は、方形に組んだ木の上に板を張った天井のことで、 神社仏閣に多く見られ、
間の部分にはその時代の雰囲気を表す壮麗、重厚な絵が描かれます。
格天井文は、天井画のように格子の中に様々な絵柄を収めた文様をいい、 礼装の着物にや帯によく使われます。
97)雅楽器文(ががっきもん)

 大太鼓、琵琶、篳篥(ひちりき)、笛など、
 雅楽を演奏する時に用いる楽器を文様化したものです。
 典雅な形には品格があり、晴れ着に向く文様ですが、 小紋風に小さな柄に表現して楽器尽くしとしたり、 草花を添えることもあります。
 王朝の雅に通じる文様ですので、秋草に横笛と琴を組み合わせたり、 紅葉や幔幕(まんまく)に大太鼓を取り合わせて、 文学的な意味をもたせることもあります。
 
98)万寿菊文(まんじゅぎくもん)
 

 尾形 光琳の画風に影響を受け、
 江戸中期に一世を風靡した文様様式を総称して「光琳模様」と言います。
 モチーフの細部を簡略化して、細くまた太く、
 調子を変えた線で柔和に表現するところに、その特徴があります。
 万寿菊文はその代表的な文様の一つで、
 菊の花弁を省略し、勢いのある曲線で菊花のこんもりとした量感を 見事に表現しています。
 秋のたわわな実りの季節を表す、
 可愛らしさとモダンさを兼ね備えた文様です。
 
99)撫子文(なでしこもん)
 
秋の七草のひとつで、八、九月頃、淡紅色の可憐な花を咲かせます。
 文様としては、鎌倉時代頃から調度や衣服に使われ始め、 比較的歴史の古い文様の一つです。
 秋の七草文様として他の七草と一緒に使われることもありますが、 単独で用いられた時は夏の趣が強く、 花期が長いことからも「とこなつ」の別名を持ちます。
 単・薄物の着物や帯、また浴衣の文様としても根強い人気を誇ります。
 
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